【2019年 太田直子】

こんにちは。一度は奥深い字幕の世界にハマったNanacoです。このブログにお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。
 
 
「字幕屋のホンネ」は、2007年に出版された「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」を加筆・修正し2019年に文庫本になったものです。
 
「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」は私が映像翻訳の学校に通っている時に話題になっていました。
 
本の題名は、当時大流行した「世界の中心で愛を叫ぶ」をもじったものですね。
 
 

映像翻訳はちょっと特殊な世界なので内情がよくわかりませんね。
 
謎に包まれた世界を、映画字幕翻訳者の太田直子さんが赤裸々に語ってくれています。
 
太田さんは字幕翻訳が専門(吹き替え翻訳もされてます)
 
字幕翻訳の苦労話が詰め込まれていて、業界の方は首が痛くなるほど、うなづいてしまうことでしょう。
 
業界の片隅のさらに端っこにいた私でさえ、身につまされてしまうほどです。
 
それでも、やっぱり映像翻訳の世界は面白い!
 
ということで、さっそく紹介しますね。
 

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映像翻訳のことがわかる本


 
著者の太田直子さんは、映画字幕翻訳者
 
初版の時点で翻訳者歴約20年なのに、自分のことを「業界ではまだまだ尻の青いガキ」と言っています。どんだけ~
 

主な字幕翻訳作品
  • 「コンタクト」
  • 「17歳のカルテ」
  • 「初恋のきた道」
  • 「アザーズ」
  • 「シュレック2」
  • 「エルミタージュ幻想」
  • 「ヒトラー 最後の12日間」
  • 「バイオハザード」シリーズ

他 1000本以上

 
ひゃ~~、すごい、すごすぎるー
 
 
翻訳の種類や手法などについては、専門誌やサイトにも書かれています(私もこのブログで記事にしています)
 
しかーし、そういった説明ではとてもカバーしきれない、めっちゃめちゃ細かい、面倒くさいルールがたくさんあるのです。
 
こんなに苦労をして字幕を作っているとは、おそらく誰も思わないでしょう。
 
是非とも知っていただきたい!
 
というわけで、次で少しだけ内容をご紹介します。
 

そんなに叫んでどうするの


 
字幕は、無駄なものは省き、すっきりしているのが望ましい。
 
太田さんが字幕を教わった時に、恩師から言われて印象に残っていることは、

  • もともと日本語の文章に「?」や「!」はなかった
  • むやみやたらと字幕原稿に「?」や「!」を使うな
    見た目にうるさいだけ

 
 
ですが、最近はとかく「!」が多く使われているとのこと。
 
ケンカで怒鳴りあっているシーンなどでは「!」だらけになったりします。
 

「きさま!」
「ふざけんな!」
「おい! やめろ!」
「何しやがる!」
「ジャック! 落ち着け!」
「ヤバいぞ! ズラかれ!」
「待て! この野郎!」
「くそ! 覚えてやがれ!」
「早く!」
・・・・・・実にうるさい。

 
ただ、登場人物が叫んでいるのに「!」がないと、間が抜けた感じにもなります。
 
でも、こうしてみるとやっぱりうるさいですね~
 
 
「!」の多用は、字幕に限ったことではありません。
 
太田さんいわく、大声で叫んでひたすら主張していないと不安な現代の心性を表しているように感じる、とのこと。
 
おおー、なんかわかるー!
 
あ、しまった、私もつい使ってしまいました…
 

ルビと混ぜ書き


 
字幕では、読めない漢字はルビ(ふりがな)をふるか、ひらがなにします。
 
文字数が少ない方がいいので、なるべく漢字で書きたいところですが、多くの人が読めない漢字を使うわけにはいきません
 
ただ字幕の場合、あまりルビがあると見た目にわずらわしい。
 
それに、限られた時間内で読んでもらうためにはルビがないほうが読みやすいのです。
 
そうなると、ひらがなと漢字の混ぜて書くものが出てきます。

  • 拿捕 → だ捕
  • 挽回 → ばん回

など、漢字の方がなんとなく雰囲気で読めるんじゃ?と思っても、その時代で使える漢字が決められています
 

それに字幕は決められた時間内に読んでもらわなくてはいけません。
 

nanaconanaco

ん?とひっかかっても戻って読み返せないのです

「骨とうにはまっています」
 
なんと読みましたか?
 
骨董の「董」が常用漢字ではないので、ひらがなにしています。
 
骨とウニは待っています」とも読めませんか?
 
いやいやそんなふうには読まないだろう? それはわかりませんよ~
 
こうしてみると笑えますが、字幕屋さんはそんながんじがらめの中で字幕を作っているのです。
 

次はキャラクターによる言葉遣いをみてみましょう。
 
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キャラによる言葉遣い


 
たとえば男性の場合、英語では「I」でも、日本語ではキャラクターによって

と使い分けないとおかしなことになります。
 

nanaconanaco

もう全部「私」でいいんじゃない?

でも8歳の少年なら「私はお腹がへった」ではなく「」にしたい。
 
腕に刺青をした荒々しい男が相手を殴りながら「私をナメんじゃねえ!」もおかしいのです。
 
 

そして、女性の場合は語尾問題があります。

  • 「~わ」
  • 「~よ」
  • 「~ね」

 
たとえば「うれしいわ」「お客さんよ」「すてきね」などですね。
 
実際に私たちは「~わ」とはあまり言っていないですよね?
 
でも登場人物の雰囲気で「~わ」のほうがいいかなとか。そんなところもジレンマ。
 
勝手にキャラづけしてもいけないし、つけなすぎてもいけない。
 
そのあんばいが頭を悩ませるところなのです。
 

最後に日本の字幕はすごいというお話しを。
 

日本の字幕は世界一

自慢するつもりはないが、日本の字幕はまちがいなく世界一クオリティーが高い。

 
きゃー、太田さんカッコイイ~
 
ほんの少し字幕かじっただけの私でもそう思います。
 
お前が言うな、と怒られそうですが、才能ある映像翻訳者たちが少しでもいい字幕を生み出そうと日々七転八倒していることだけはわかっているつもりです。
 

他にも、放送禁止用語にはめちゃくちゃ気をつけなければいけないし、商品名や会社名が出せなかったり。
 
あちらにもこちらにも気を遣いまくって大変です。
 
外国人の長~い名前も文字数がかかるので困ります(名前だから仕方ないけど)
 
 
苦労して生み出される字幕ですが、こんなに考えたって誰も字幕なんて覚えていません
 
でも、そのほうがいいのだと、映像翻訳の学校で言われました。
 
字幕なんてあったっけ?と言われるくらいがいい。
 
なぜならその人は、字幕に気づかないくらい自然に映画を観ていたことになるからです。
 

nanaconanaco

思いもしなかった考え方に感動した私でした

あとがき

 
どの世界でもそうですが、時代が変わるにつれ、働き方やルールも変わっていきます。
 
映像翻訳に関わっている方はご承知かと思いますが、この本は2007年に書かれているので、当時 常用外だった漢字が、今は常用漢字になっていたりします。
 
常用漢字の面では、以前よりも字幕に使える漢字が多くなっているようでなによりですね。
 
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。
 

 
 
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